刹那音
「俺結構お前のこと信頼してんだよね」
「はぁ?」
何なんだいきなり。
翠はまた笑っていた。
「いんや、なんかさ」
「なんだよ」
「律なら言ってもいいやって思ったんだよ」
翠は笑うのをやめた。
翠がこっちをみた。
ばちりと目が合った。
「俺さー好きな奴いるんだよね!」
「え?」
あれ、何でだろ。
今身体の全ての時間がとまった気がした。
いや、
世界の時間が止まった気がした。
俺はこの日間違った。
ここで間違わなければ今とは違う現実だったかもしれないのに。
希衣と笑いあっていたかもしれないのに。
ばか。