刹那音
雪
「寒っ!!」
頬に突き刺さる冷たい風。
切れて血が出そうなほど尖っている。
…………中3、冬。
あれからもう、こんなに時間がたってしまった。
「なー律~そのマフラー貸してよ」
「えーやだ」
「じゃあせめてカイロちょーだいっ」
「あ、カイロならいーよ。はい」
千尋と一緒にこの道を歩くのもあと二ヶ月ほどとなった今、俺たちは高校受験真っ盛りであった。
今日も学校から塾までの道のりを二人で歩いていた。
「でさ、律私立はどーだったの?」
話も受験のことでもちきりとなってきた。
つい先週、俺たちは私立受験が終わったところだ。
「受かったよ」
「おお、特待合格できた?」
「一応」
「はぁーさすがだよな、お前」
千尋が真っ白な息を吐く。