刹那音
「翠にもらったの…」
「クリスマスプレゼント?いいね~」
へらへらと笑う千尋と、
頬を赤らめてうつむく希衣と、
やっと点滅しはじめた歩行者信号をじっと見つめる俺。
「あっ…それじゃあ、またね二人とも」
「ばいばーい」
冷たい風に長い髪を吹かれながら、前を向いて進み始めた希衣。
希衣が曲がり角を曲がると、さっきまでへらへらしていた千尋が一気に真顔になった。
「ねぇ、律」
「…言いたいことは分かってるよ、千尋」
このまま何も伝えないで、お前卒業すんのかよ。
って、言いたいってことぐらい。