刹那音


希衣が好き?


それとも、希衣に似てる夢架に惹かれ始めてる?


それとも、夢架を希衣の代わりにしようとしている?






――――どれがほんとう?




そんなの一つしかないだろう。

分かってるのに。


この思いはそう簡単に消せないのに。





「…ごめん、少し時間もらってもいいかな」


ああ、俺は何をしてるんだろう。



夢架を傷つけたくなった。


いや、そうじゃない。


夢架を傷つけるという罪悪に、苦しみたくなかった。




誰も傷つかない恋はないのですか?


ねぇ、この世界を作った神様。


答えてよ。

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