刹那音
だが、また俺の決心を揺らがせるように。
世界は動いてゆく。
その日の放課後のことだった。
何事も、ある日突然何の前触れもなく起こるものだったりする。
「りーつ?塾行くぞー」
「ごめん、俺今日は日直だから先行ってて」
スクバを振り回しながら教室に入ってきた千尋に断る。
「つーかさ夢架は?最近いなくね?」
「…さぁ」
あの日から夢架は俺たち二人の前に姿を現さない。
塾も休みがちらしい。
「んーまぁ、後でメールいれとくよ。じゃあお先ー」
「うん。ばいばい」
千尋の足音が遠ざかると、俺は教室を見回した。
…日直なんて、嘘だ。