刹那音
「…あのさ、ごめん。俺」
「言わないで!!」
…びくっとした。
さっきまで固まっていた夢架がいきなり俺に叫んだのだ。
声は震えていた。
目に涙をためて。
まるであの塾の日のように。
「その先は言わないで…。言ったらあたし、律を諦めなきゃならなくなるんでしょ?」
…………ゆめか。
俺はまた何も言えない。
言葉を失う。
「この気持ちが消えるまでは………
律のこと好きでいさせて…」
…ぽたっ。
一粒の涙が夢架の目からこぼれ落ちて、床に弾かれた。