刹那音


「今日夕飯どーしよっか?」


もうすっかり泣き止んでいつもの明るい夢架にもどっている。

本当にこの人のこと尊敬する。

俺だったら絶対無理だから。


「んー、またセブンで買って行けばいっか」

「そだねー」


学校終わってそのまま塾、帰りは10時とかになってしまうので、俺たちはいつも帰り道にコンビニやスーパーで夕飯を買ってから行っていた。

本当は中学生だから財布を持って行ってはいけないんだけど、俺らの塾に通う生徒はそんな校則守ってられなかった。


「あたしメロンパンにしよっ♪」

「ほんとセブンのメロンパン好きだよね」


玄関に向かう廊下を歩きながら、そんな他愛もない話をする。

いつもなら千尋もいるけど、今日は先に行ってもらった。


通学路から外れて、人通りが少ない道沿いに立つセブンで買っていた。

このセブンはもはや麻倉第二中生のためのコンビニであった。


< 84 / 161 >

この作品をシェア

pagetop