刹那音


夢架もそれに気づいたらしい。


「ほんとごめ………」


希衣が翠から顔を背けたとき、

ばちり。


「………あ」


目が合った。


希衣と俺。

目がばちりと合った。


「……律」


希衣はそうつぶやいたまま固まってしまった。

その理由が俺にはわからない。


「…律?行こーよ」


何か重苦しい雰囲気を悟ったのか、夢架が俺のコートの袖を引っ張った。

「…うん、行く」


希衣から目線を外す。


そして自分の下駄箱の前まで歩いた。



…あ。


そして気づいた。



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