刹那音



野々宮さんが、また顔を赤くして俯く。


「…奥原くん、やっぱり優しい」


野々宮さんが耳元をさわった。


…あ。見つけた。

野々宮さんの癖。


照れると耳元をさわるんだ。


どーでもいいことなのに。

何だか嬉しくなる。


「ありがとう、奥原くん」


彼女はまた、あの花が咲いたような笑顔を見せた。
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