刹那音
光
「あーあ、ほんとに今日でお別れなんだね~」
「うん…寂しいよっ」
「うわ夢架泣くなよ!おい律、何とかしろ!」
まだ冷たい風が俺らの髪を揺らす。
今日は卒業式。
もう…こんなに時間が経ってしまった。
「でもなー。律がまさか結局麻西受けるなんて!」
「ほんと急に変えたよねっ、あはは」
そう、俺は結局麻西に志願先を変更したのだ。
まるで希衣を追いかけるように。
「んで、発表は明日かぁ」
「卒業式の後って何かいやだよね」
「うん、やだ」
まだ合格したわけじゃない。
でも、先週受験会場に希衣がいた。
麻西に。
希衣と目があって。
希衣はすごく驚いた顔をしたけど、すぐに笑いかけた。
愛想笑いかどうかなんてわからない。
でも、もういい。
俺は自分の気持ちに従っただけ成長できたんじゃないかな。