空の果て
それから1年後。私の魔力検査の結果が出た。

『基準値に達せず』

紙切れにはそれだけが書かれており、私はそれを見て泣いた。
その話を聞いたリクとカイは心なしかホッとした顔をしていたが、
私は納得ができない。

その夜、結果を聞いた母は、沢山のご馳走をこしらえた。

私の誕生日の時よりも豪華な料理が並んだ食卓には、母の執念みたいなものが詰まっていた。

「あなたは高等学校には行かずにそのまま花嫁修業をしなさい」

そう言って笑顔で裁縫の本をプレゼントしてくれた母。

そこには私の大好きなワンピースの作り方も載っていた。

でも、私はどうしても士官学校に入りたかった。

剣も馬術も体術も、全てが苦手だった私は治癒の一環を担う「白魔術」の洗礼を受けようと思い、誰にも言わずに必死で勉強した。

そしてこっそり試験を受け、見事に合格した。


その試験結果を伝える前だった。

ある日突然、父が死んだ。

涙を見せたことの無い母が、台所で静かに泣いていた。
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