空の果て

殆どの生徒は帰ってしまった。
図書館に残っているのはほんの数人だ。

端っこの席は私の定位置だ、と勝手に決めている。
カバンからノートやペンを取り出し、
誇りにまみれた本の表紙をそっと開く。

神の啓示。
治癒術の論理。
自然界の摂理。
そして、白魔術の歴史。
様々な事が事細かに書かれている古文書。

古代文字が入り混じった文章は解読するのにとにかく厄介で、何度も何度も同じところを読み込む。
声に出して読み、紙に書き、意味を理解しながら目を動かしていく。

「ああっもう!」

私は本を閉じて思いっきり背伸びをする。

何度も何度も逃げ出したくなる。
だけど、私に逃げる場所は無い。

何で、私には黒魔術の才が無いんだろう。

父はあんなに偉大な黒魔術師だったのに、私には何もない。

だから、努力するしかないんだ。

それしか方法はない。

だって私は……
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