空の果て
「軍隊に入りたいなんて、寝ぼけたこと言うな」

目の前にいるのは幼馴染のカイ。

私と同じ年のくせに、やたらと落ち着いていて、
私の友達の中にも彼のファンは多い。

「寝ぼけた事なんて言ってない」
私はオウムのように同じ言葉を繰り返す。

「じゃあ、聞くが。お前は魔術の才があると言われたのか?」

「言われたわけじゃないけど、勉強して、白魔術なら使えるようになったもん」

カイは、大きなため息をつく。

「初級の治癒魔術だろ?」

「でも、まだ勉強してるし。少しでも役に立つなら」

「お前は甘いんだよ。そんな気持ちで来られても迷惑だ」

カイは立ち上がり、私を睨みつけながら唇の端っこを少し上げて笑った。

「料理の勉強でもしてろ」

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