白いジャージ8~先生と熱い想い~
私は、そのキスで田辺さんのことを話そうと思えたんだ。
だって。
先生の性格わかってるもん。
先生を心配して私が我慢していると知ったら、絶対怒る。
“何でも俺に言えって言っただろ”って。
だから、ちゃんと話す。
夫婦だから。
小さな悩みかもしれないけど、私にとっては大きい。
「今日も来たの。田辺さん」
食事が終わってから、話し始めた。
「またぁ?何の用?」
「虫が出たから、ご主人が帰ってたら退治してもらいたいって」
先生は、大きなため息をついて、呆れた顔をした。
そして、向かい合って座っている私の手に手を乗せる。
「嫌な想いしただろ。なんか・・・・・・ごめん」
「先生が悪いわけじゃないよ。ちょっと変わった人なだけかも」
先生のことを知っている人なのか、そうじゃないのか、それすらわからない。
本人に聞くしかもう方法はない。