白いジャージ8~先生と熱い想い~
「次はゆかりだぁ・・・・・・緊張する」
もうすぐゆかりとゆかりのお父さんが入場する。
さっき、ゆかりのお母さんと挨拶をしただけで、涙が溢れてしまった。
「中田、どんな話してんのかな。お父さんと」
先生は扉を見つめながら静かに言った。
思い出す。
私の結婚式。
緊張するお父さんの隣で、何を話したかな。
感謝の気持ちでいっぱいだった。
お父さんと小さい頃に遊んだ記憶がよみがえってきて・・・・・・
とても長い時間に感じられたんだ。
「待ってる俺も緊張してたんだぞ」
先生は、ひとりで立っているたっくんに視線を向けてから私を見た。
「そうだよね。ひとりで寂しかった?」
「寂しかったよ。誰も俺なんて見てねぇしな。ははは」
先生は、写真は俺に任せろと言ってくれた。
直はしっかりと目に焼き付けろよって・・・・・・
オルガンの生演奏。
聖歌隊の歌声。
ゆっくりと開いた扉の向こうには・・・・・・
大好きな私の親友。
中田ゆかりが立っていた。