白いジャージ8~先生と熱い想い~
LOVE.5
向き合う心 【先生目線】
―向き合う心― 【先生目線】
俺が仕事に行こうと車のエンジンをかけた時だった。
運転席の窓から、あの人が見えた。
隣の田辺さん。
吉田と呼ぶのはやめた。生徒気分になって喜んでいるようだったから。
「おはようございます!先生!!」
だからぁ・・・・・・
先生って呼ぶなよ。
「おはようございます」
しっかり壁を作る。
こういうのは慣れている。
俺には大事な人がいる。
ただのお隣に住む人だ。
親しく話をするのはおかしいと思う。
窓越しに頭を下げた俺に、窓を開けろと言って来た。
「何ですか?」
「敬語じゃなくて良いよ、先生」
先生だけど・・・・・・先生って呼ぶのは違う気がする。
「もう、先生って呼ぶのはやめてくれないか?」
「どうして?」
「旦那さんに内緒にしてくれって言うなら、先生って呼ぶのはおかしいと思う」
その後、田辺さんから聞いた事実を、直に話せる自信がなかった。
朝から・・・・・・辛い。