白いジャージ8~先生と熱い想い~
「あれ?奥さんは乗らないの?」
「今日は、電車なんです」
「へ~、そうなんだ。じゃ、助手席空いてるの?」
嫌な予感がした。
先生も同じことを想像した。
だから、バタンとドアを閉めた。
窓を開け、
「行ってきます」と私に言った先生は、険しい表情でエンジンをかけた。
「先生!駅まで乗せてくれない?」
空気が読めないタイプだと前から思っていたけど、先生のこの怖い顔を見てもそんなことが言えるのはすごい。
「それはちょっとおかしいと思わない?」
先生は眉間にしわを寄せながら低い声で言った。
意外だった。
先生は、軽く“急いでるから”とか言うんじゃないかと思った。
先生、今日はそれどころじゃないのに。