白いジャージ8~先生と熱い想い~
「でも、先生は先生じゃん。奥さんは知らないと思うけど、先生って本当に生徒想いの先生だったんだから」
何も言わなかった。
私が教え子だと知ったら、もっともっと私を憎むと思う。
同じ立場の私が結婚したなんて・・・・・・
「田辺さんの旦那さんに内緒にして欲しいってどうしてですか?」
こんな修羅場っぽい場面なかなかないよね。
私自身、ドキドキして、手が震えていた。
「あ、聞いてない?先生には言ったんだけど」
また嬉しそうな顔をした。
「私、離婚するの。この部屋にはひとりで住んでるの。主人に内緒にしてって言った方が結婚してるって感じでしょ?」
よく堂々とそんなことが言えるね。
新婚だって言ってたのに。
全部嘘だったの?
「嘘、だったんですか?」
声が震える。
「それも、お隣さんとうまくお付き合いする為の嘘だから、悪く思わないで」
涙が溢れそうだった。
先生はその事実を知って、どんなに苦しんだだろう。
私にどう話そうか迷っているんだろうな。
かわいそうだよ、先生が。