白いジャージ8~先生と熱い想い~
マスカラもチークも落ちて、すっぴん状態の私は、20分遅れてカフェに着いた。
沙織とモーニングの約束をしていて良かった。
沙織に話を聞いてもらえなかったら、私は泣き続けていたかもしれないから。
「はぁぁぁぁ?何、それ!直、引っぱたいてやれば良かったのに」
私の代わりに本気で怒ってくれた沙織。
私だって、引っぱたきたいくらい悔しかった。
「そうだよね・・・・・・でも、そんなことしたことないから、やり方わからない」
「直だもんねぇ。直が誰かを叩くなんてありえないもんね。私が代わりに殴ってやりたいよ。失礼過ぎるし、頭おかしいんじゃないの?」
沙織は、チーズトーストにフォークをブスブスと突き刺した。
「ちょっと反省してたんだぁ。先生のことを好きだったとしたら切ないだろうなって。だから、ちゃんと話して田辺さんのことわかりたかった。でも、もう無理だな」
私と同じような生徒だったのかなって思ったんだ。
でも、今日の田辺さんを見ていると、そうじゃないと思った。
なんだろう。
私は絶対にあんなことを奥さんに言ったりしない。
どんなに先生のことを好きだったとしても。