白いジャージ8~先生と熱い想い~
「2年の学年集会を始めます」
俺は、静かにしない生徒達に向かって大声を出した。
「こらぁ!静かにしろ」
その時、体育館の入口に戸村の姿があった。
水谷先生と一緒に一番後ろに座った。
宮崎は、みんなの列の中に座っていた。
いつもと変わらず友達と話をしていた。
何を語るんだろう。
俺は、集会の前に宮崎と話そうかと思ったが、やめておいた。
「最後に、ちょっといいか。みんなに話しておきたいことがある。入学して1年が過ぎたけど、この学年は今どうだと思う?いい学年だと言えるか?」
俺はマイクを使わずに話した。
いじめがあることは、おそらくここにいる誰もが知っている。
戸村だけじゃなく、いろんなクラスでいじめはある。
「この学年で、いじめがあることはみんな知ってるな。学校に来るのが怖いと感じている生徒がこの中にたくさんいる。俺は、みんなには人の気持ちを考えることのできる人間になって欲しいと思ってる。自分さえ良ければ良いという考え方は絶対にしないで欲しい。自分がもし今幸せだったら、その幸せを誰かに分けてあげられる人になって欲しい」
宮崎と目が合った。
首を横に振った気がした。
まだ勇気が出ないんだと判断した俺はもう少し話すことにした。