白いジャージ8~先生と熱い想い~
「いつも親友を応援してた。先生に毎年チョコ持って行ってたんだよ。私は隣でそれを見てた。いつもいつも、私はあの子の影に隠れて・・・・・・だから、先生が覚えてなくて当たり前だよ!!」
「ごめん・・・・・・今、思い出した。親友って、山沖のことか?」
名前を聞いたことがある。
先生のファンクラブを作ると言って、先生に会報を書いてと頼みに来た生徒がいたんだって。
確か2年生って言ってたから、私はまだ高校に入学していない頃のことだ。
「・・・・・・やっと、思い出してくれたんだ」
「ごめん。話したことはあまりなかったけど、いつも隣にいた子だな・・・・・・ごめん。覚えてなくて」
「先生が覚えてないことくらい最初から気付いてた。私なんて、印象に残るはずない。あの子が強烈だったから。先生には私が見えていなかった」
先生が思いだしたことで、田辺さんの口調が穏やかになった。
田辺さんの中に宿っていた悪魔が出て行った、そんな感じがした。