白いジャージ8~先生と熱い想い~
わかりあうこと
―わかりあうこと―
ピンポーン
日曜の昼下がり。
「お邪魔します」
やって来たのは、お隣さん。
「いらっしゃい、田辺さん」
私は笑顔で田辺さんを迎えた。
不思議だね。
少し前まであんなにも恐怖に感じていた田辺さんなのに。
田辺さんの表情も変わったように見える。
作った笑顔じゃない。
自然な優しい顔になったんじゃないかな。
と言っても、やっぱり緊張してしまう。
嫌な思い出がよみがえる。
“嫉妬深い奥さんもらっちゃったね”と言われたあの時の傷は消えない。
「日曜なのにお邪魔してごめんなさい」
そう言って、田辺さんは、紙袋を私に渡した。
「これ、ケーキなんだけど」
「お~、ありがとう」
先生は早速ケーキを覗き見て、嬉しそうにお礼を言った。
「じゃ、ケーキ頂こうか」
先生は、コーヒーを入れにキッチンへ行った。
私と田辺さんは向かい合って座った。
一瞬目を合わせて、照れ臭くてお互いに目をそらす。