白いジャージ8~先生と熱い想い~
「あの・・・・・・いろいろ、本当にごめんね。ごめんなさい!!」
深々と頭を下げた田辺さん。
「ううん。私も、何も知らなくて・・・・・・」
「ううん、私、ひどいこといっぱいしたよね。嫉妬深いとか言っちゃったし、本当にごめん!私の方が嫉妬深いよね。最低だった」
人ってこんなにも変われるんだとびっくりした。
しっかりと目を見て話す田辺さんは別人のようだった。
いつも何か考えているような、そんな目つきをしていた田辺さん。
今は、違う。
「先生から、聞いた?」
「うん。聞いた。実はね、私も生徒だったの。田辺さんと同じように入学式で先生のこと好きになっちゃったの。同じだね」
このこともちゃんと言おうと思えたのは、宮崎さんと戸村さんの話を聞いたから。
相手のことをわかるためには、自分もちゃんと話さなきゃいけないんじゃないか、と思えた。
「そうなの?生徒だったの?嘘~!!すごいね。禁断の恋ってヤツじゃないの?」
思わぬ反応にこっちが驚く。
「入学式は、反則だよね~!先生以外、おじさんばっかりだもんね」
田辺さんはそう言って目を輝かせて笑った。
「しかもね、先生の隣に立ってた先生は、頭ハゲてて背も低くて、余計に先生がかっこよく見えちゃったんだよ」
弾ける笑顔が眩しかった。
ずっと話したかったんだね。
誰にも言えなかったから。
誰かと、先生のことをこうして話したかったんだよね。