白いジャージ8~先生と熱い想い~
「で、先生は奥さんのどこを好きになったの?」
「え?俺にも聞くの?俺、ノロケちゃうけど平気?」
田辺さんは、平気平気と言って、ケーキを頬張った。
「直は・・・・・・普通の生徒だった。本当に普通の。でも、何かが違ったんだよな。俺が風邪引いたりすると、心配してくれる生徒はたくさんいた。薬をくれたり弁当作ってきたりする生徒もいた。直はそんなことはしなかったんだけど、ちょっと顔を合わせた時に“先生風邪大丈夫?”って聞いてくれた。次に会うと“風邪治って良かったね”なんて言ってくれてさ。その控えめさが良かったのかもしれない。他にも、俺が疲れているといつもどこからともなくやって来て、“先生大丈夫?”って言ってくれたり。今から思えば、そういうところが他の生徒とは違ったのかもしれないな」
改めて言われると照れる。
そうだったんだ。
本当は私だって、風邪薬渡したかったんだよ。
お弁当だって作りたかった。
でも
できなかっただけなんだ。