白いジャージ8~先生と熱い想い~






「ごめんな、直・・・・・・嫌な想いさせちゃったな」




先生は、元気のない顔でそう言った。



実家を出て、最初の信号で停まった時だった。






「ううん。お義母さん、元気なかったね」




「さっき、親父が言ってたんだけど、更年期も重なって、不安になってるみたいなんだ」




「そうだよね。今まであんなお義母さん見たことない。また近いうちに実家に帰ろうよ」





口ではそう言いながらも、私の本心は違っていた。




しばらくは実家に顔を出したくないと思っていた。





同居なんて・・・・・・やっぱり嫌。





先生がいくら拒否してくれても、あんな風に言われると・・・・・・同居してあげた方が良いのかなと思ってしまう。






最近、自分が嫌いになりそうだよ。





田辺さんの時にも思った。




私、自分のことばっかり考えて・・・・・・



自分の幸せを守りたい、と必死になっているように感じる。





幸せなはずなのに、他人に幸せを分けてあげられないなんて、そんな心の狭い人間になってしまったのかな。




先生は心が広いのに、私は・・・・・・





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