白いジャージ8~先生と熱い想い~
恩返し 【先生目線】
―恩返し― 【先生目線】
ピピピピ、と爽やかな小鳥の声を聞きながら、駐車場へ向かう。
直は今日は有給を取って、中田とデート。
「先生、おっはよ~」
元気良く俺に声をかけて来たのは、田辺さんだった。
「おう、おはよう。昨日、直から言われたんだけど、田辺さんって呼ばれるの嫌じゃない?もう離婚するんだろう?吉田って呼ぼうか」
直が提案してくれた。
本当に、優しいと思った。
“私が田辺さんの立場なら吉田って呼ばれたい”な~んて真剣な顔で言うんだもん。
イイ女と結婚したな、俺。
「マジで?良いの?てか、先生の奥さん、超優しいね」
「だろ?」
化粧は濃くなったが、高校時代のままの笑顔だった。
思い出すと、いろいろなことが鮮明になった。
俺のファンクラブを作って、毎日昼休みに体育教官室に取材だと言って遊びに来ていたっけ。
あの時に隣にいたなんて。