白いジャージ8~先生と熱い想い~




「でも、子供欲しくないの?」




「別に結婚しなくてもできるでしょ」





黙って話を聞いていた誠人さんが口を開く。





「確かにそうだよな。結婚って・・・・・・意味があるのかな」





キッチンに飾っていた花を見つめながら、そう呟いた。



視線の先にいるのは、花帆さんと愛花ちゃんだろうな。





「安心、かな」



先生は、コーヒーカップの中を見つめながら言った。





「どうして直と結婚したんだろう、と思うと・・・・・・俺にもよくわからない。でも、結婚すれば、直の不安が減るんじゃないかと思った。俺自身も・・・・・・」





私はどうして結婚したかったんだろう。




“結婚”というものに憧れていたのもある。




それに、結婚すれば、そう簡単に別れることはない、って・・・・・・思ってたのかもしれない。



だから、先生が言ったように“安心”が欲しかったのかな。






「結婚したら、一生一緒にいられるってそんな気がしたんだよね」





私がそう言うと、先生も続けた。






「そう。意味なんてわからない。でも、一生この人と一緒にいたいと思ったから、俺達は結婚した。別に結婚しなくても俺達は一生別れないと思うけど、普通に結婚して、家庭を作って、平凡でいいから幸せな人生を送りたいと思った」





うん。


平凡でいい。




平凡な幸せが何よりも幸せ。





< 332 / 374 >

この作品をシェア

pagetop