白いジャージ8~先生と熱い想い~
「でも、子供欲しくないの?」
「別に結婚しなくてもできるでしょ」
黙って話を聞いていた誠人さんが口を開く。
「確かにそうだよな。結婚って・・・・・・意味があるのかな」
キッチンに飾っていた花を見つめながら、そう呟いた。
視線の先にいるのは、花帆さんと愛花ちゃんだろうな。
「安心、かな」
先生は、コーヒーカップの中を見つめながら言った。
「どうして直と結婚したんだろう、と思うと・・・・・・俺にもよくわからない。でも、結婚すれば、直の不安が減るんじゃないかと思った。俺自身も・・・・・・」
私はどうして結婚したかったんだろう。
“結婚”というものに憧れていたのもある。
それに、結婚すれば、そう簡単に別れることはない、って・・・・・・思ってたのかもしれない。
だから、先生が言ったように“安心”が欲しかったのかな。
「結婚したら、一生一緒にいられるってそんな気がしたんだよね」
私がそう言うと、先生も続けた。
「そう。意味なんてわからない。でも、一生この人と一緒にいたいと思ったから、俺達は結婚した。別に結婚しなくても俺達は一生別れないと思うけど、普通に結婚して、家庭を作って、平凡でいいから幸せな人生を送りたいと思った」
うん。
平凡でいい。
平凡な幸せが何よりも幸せ。