白いジャージ8~先生と熱い想い~





要君が登場した時に、歓声が湧き起こった。




「え?要君、人気だな」




先生が嬉しそうに言った。





客席を見ると、他校の制服を着た女子高生の軍団がいた。





「あ~、彼女の友達か」



「すごい応援団だね」





要君の彼女、いい子なんだろうなぁ。



たくさん友達が来ていて、横断幕まで作ってくれてるよ。






「虎太郎で、票を集めるかもな」



「そうだね」





龍と依子カップルの時は、虎太郎がかわいいと声が上がっていた。





たっくんとゆかりは、緊張していない様子で、お互いの好きな所を堂々と言い合っていた。






「誠人にビデオ頼んでるからいつでもゆっくり見られるぞ」



「そうなの?誠人さん、花帆さんと来てた?」



「ああ。愛花ちゃんもいたよ。仲良さそうだった。直のお姉ちゃんも来てたって言ってたぞ」



「そうなの?お父さんとお母さんも来てるんだろうなぁ。緊張するな」






隆介君と美亜ちゃんの番になった。



緊張なんて全然していないように見える隆介君。



緊張する美亜ちゃんの肩に手を乗せて、耳元で何か言っていた。




ふふ。


優しいんだぁ。







予想はしていたけど、隆介君達が登場すると今までで一番の歓声があがる。





女子高生から見た隆介君って、どんな風に見えるんだろう。



ちょっと大人なクールなお兄さん、という感じかな。







「おい、また見とれてる!」




コツンと頭を叩かれる。





「ごめんっ!!」



「素直に謝るなよ。本当に見とれてたのかぁ?」



「ううん。すごい人気だなって思っただけ」



「ば~か」






緊張をほぐそうとしてくれているのが伝わる。




そっと手を握ってくれた。






「何年も叶えてやれなかった夢だからな。しっかりみんなに紹介しなきゃな」






前を向いたまま先生は言った。




私は返事の代わりに、繋いだ手をぎゅっと握りしめた。







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