白いジャージ8~先生と熱い想い~
「たっくん、中田、準備できた?入場OK?」
俺は、ドアの外に立っているふたりに声をかけた。
黄色いドレスの中田が目に入る。
「すげー!!黄色のドレスか。似合ってるな」
俺がそう声をかけると、たっくんは自慢気に言った。
「めっちゃ綺麗だろ?先生!」
俺は、大きく頷いた。
「たっくん、よくここまで頑張ったな。あんなにボロボロだったのに。酒に溺れて、汚い男だったのに」
「先生~!頼むよ。もうあの過去は忘れてよ」
たっくんは情けない顔で俺の肩に手を乗せる。
「忘れるわけないよね~、先生!」
と中田が笑った。
「大事なのは、過去じゃなくて、未来だよ」
俺はそう言ってから恥ずかしくなって顔をそむけた。
「先生、かっこいい~」
声を揃えたふたり。
「じゃ、入場曲かけるから。よろしく」
俺はドアを閉め、音響担当の龍に合図を送る。