禁断ノ遊ビ
扉に設置された鍵穴に、リボンに付いた鍵を差し込み回す。
予想通りに開きはしない。残る穴はもう一つ。
チラリと椿くんの手首を見た。
「これ、もしかして……」
椿くんも気が付いたようで、限り無く扉に体を近付け、慌てて差し込み回す。
漸く開いた音を経てるも、鍵を抜いてしまえば閉まってしまう。
「何で……?」
そういう造りだから。ここから出る為には鍵を差しっぱなしにしないといけない。抜いた瞬間、物凄い勢いで扉が閉まってしまう。そんな機械じみた造りだそうだ。
全ては『いい事』と称して教えられた事だ。病に犯された私は出れないけれど、病に犯されていない椿くんはまだ戻れるとも。
鍵の事は嘘だと思っていたけど、柊様の言葉は嘘じゃなかったんだ。だから……
「ごめんね……」
躊躇いながらも目を瞑り、椿くんの手首を逆方向に押し倒した。