禁断ノ遊ビ
耳をつんざく叫び。
許して欲しいなんて言わない。恨んでくれてもいい。願うならば、私の分まで生きて。私はいつか死んでしまうから、もう外に出れない悪病をもつ存在だから。
関節を外し、肉を削ぎ、手錠を椿くんの手から抜いた。
ぐちゃりぐちゃりと音が聞こえ、肉からは白い骨が見えていた。自分でもこんな事を出来るなんて驚きだけど、そうも言ってられない状況だ。
「ひ、な……ひな……」
椿くんの声に返事もせずに鍵穴にそれを差し込み、扉を開け放った。久々に見る麓の村に何も感じない。
そこからはもう躊躇いなんてなかった。
「生きて……!」
願いを込め、椿くんの背を押した。
涙で前が見えなかったけれど、きっとその表情は恨みに歪んでいるだろう。
それでいい。嫌ってくれて、恨んでくれたらそれでいい。
嫌いになられても、私は好きな事に変わりはないのだから。
「大好きだよ……椿くん」
もう、会えはしないけれど。