禁断ノ遊ビ
確かに此処には歴史が、村で起こった事が並べられている。なのに。
「……ない」
歴史なのに掟が出来たことも、ある事も示唆されていない。
この書物じゃない……?
そう思ったけど、一通り見た限りでは他に目ぼしい物はなかった。
「……椿」
「っ、あ、すみません直ぐに出ます!」
いつの間にか立っていた書物庫の所有者に謝り飛び出すように出る。書物庫自体は立ち入り自由な筈なのに、突拍子もなく声を掛けられた故の対応だった。
それでも丁度いい。と直接聞いてみる。
「あの、村の掟って……?」
無意識に控えめになる僕に対して、書物庫の所有者は眉を下げて申し訳なさそうに言う。
「すまないな椿。それに関しては言えないんだ」
言えない。知らないんじゃなくて言えない。
どうして?