禁断ノ遊ビ
そもそも僕は村の偉い人の顔なんて知らないし、見た事もない。そんな存在に対する掟って何だ?
いや、それ以前に僕が知る呼ばれた数人の中で、帰ってきた人は……
誰一人としていなかった。
「っ、雛!」
とにかく走った。足が草木で傷つこうとも走った。
初めから、初めから引き止めるべきだったんだ。
事の重要さに、関係ないと今まで見て無ぬ振りをした自分を今更ながらに呪った。もう遅い。
雛は僕の幼馴染で大切な、大切な女の子なんだ。
小さい頃から楽しい時も嬉しい時も悲しい時も一緒だった。そんな雛が居なくなるなんて考えるだけで息が出来なくなる。
だから、助けたい。
だから、ここにいる。