禁断ノ遊ビ
何処にいるか分からない為に闇雲に走り回るしか無かった。
広い迷宮に囚われたような感覚に陥る。
どこ?何処にいるんだ?と焦りばかりが先行する。息が上がり足が縺れる。けれど、転ぶわけにもいかなかった。
「はな、して!やだ!」
その時確かに聞こえた嫌がる声。
「雛!」
近くにいたらしい為に場所を特定するのは容易だった。
障子に映る黒い影一つ。
いや、重なりあう二つの影。片方は暴れ、片方は押さえつけるかのようなその姿。
喉に何かが引っかかる。それと共に息を飲み込むと、思い切り障子を開けた。
まだ耳から消えない軋む音が、障子を開けた為に起きた大きな音で消し飛んだ。