禁断ノ遊ビ
「何故?薺は雛と仲良く遊んでいるだけだよ?ねぇ、雛?」
抱きしめたような状態を解かず、そのまま耳元に口を近づけ、囁くかのように雛に同意を求める。
カチカチと歯を鳴らす雛は此方を一瞬だけ見て言った。
「は、い……」
怯えきった小動物。まさにこれだ。遊びではないと様子を見れば一目瞭然だった。
「まぁ、でもせっかく椿が来てくれたんだから、椿、遊ぼうか?」
雛の長い黒髪をひと撫でし、立ち上がる。僕よりも小さい背なのに僕よりも大きく見える錯覚。
人間の本能が直感する。逃げろと。
「っ!!」
だが本能を先回りするかのように手首に回された白い手。本当にこれが生きた人間の手なのかと疑いたくなるほどだった。
その手を使い、ギリギリと僕の皮膚に伸びきった爪を食い込ませる。痛みに顔をしかめても、獣のように獲物を決して離しはしない。
「今日はね、人形遊びをしようと思ってたんだ」
ポタリと一滴の血が落ちた。