禁断ノ遊ビ
確かに乗る手を視覚でも触角でも確認し、その手を視線で辿るように黒い袖を通り、顔へ。
「あ……」
「雛様」
柊様ではない知らない男の人。皺の刻み具合から私のお父さんと同じ年位、けれど目に光が無い事から更に老けているように見えた。
一瞬怯んだものの、直ぐに男の人に駆け寄った。すがりついた。
「助け……助けてくださいっ!」
片腕だけで相手の肩を掴み、何度も叫ぶかのように助けを乞い続ける。
醜いであろう姿であっても構わなかった。助かるならそれ以外何も望まない。
「柊様が……っ椿くんが、椿くん死んじゃう!死んじゃうよぉ……っ!」
大袈裟かもしれないけれど、今の私にはそう感じさせていた。
何の躊躇いもなく私の腕を折った柊様の姿はいつまでも瞼の裏に焼き付いている。痛みは体がよく覚えている。それは十分過ぎる要因だった。