禁断ノ遊ビ
女の人は私に触れてきさえはしないが、戻って欲しいのは確実だった。
けれど、それに素直に従える程、私はまだ死んではない。まだ生きていたい。
椿くんと合流出来さえすれば何とかなる。そう確信していた。
「っ……」
左腕だけで床に手を付き立ち上がり、廊下を歩き始めた。
振り返れば昨日の人と同じく女の人は追って来ないが此方をジッと見つめてくる。
嫌悪と恐怖を抱えながらもありもしない出口を目指した。
椿くんを探した。
現在地が分からない以上どうなるか予想すら出来ない。それでも、足を縺れさせながら進んだ。
心の何処かで意味もない事だと分かっていた筈なのに。