禁断ノ遊ビ


曲がって直進してまた曲がって。それを繰り返し繰り返し行う。

言うなればここは柊様の手の内。左も右も分からない私を柊様は楽しんでいるに違いない。

だからこの入り組んだ廊下での人間の捕まえ方を熟知しているんだ。でないと説明がつかない。

髪を引っ張るこの現象の。


「いっ……!」


私の長い髪を力一杯引っ張り転ばせる。体格差なんて殆んど無い筈なのに何処からこんな力が出るのか。昨日も、今日も。


「いっ……た……」


引っ張られた毛先に更に引かれる頭皮。今にも皮ごと髪が抜け落ちるんじゃないかという錯覚を覚えた。


「ま、っ……くださ……ぃ、ぁ……」


出来るだけ痛みを最小限に抑えたいが為に頭に手を当てるも意味が無い。

ポタリポタリと落ちる涙。後ろではプツリプツリと私の髪が抜けているのだろう。




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