禁断ノ遊ビ


後ろに手を着きながら後退りすれば相手を見上げる形になる。大きくて、怖くて。でもそうは言っていられない。

先に安否を確かめなければいけない。


「――雛は今どうしてるんですか?」


男は一瞬此方を見たがすぐに反らし、先からしていた食事の用意を続行する。

答える気はないのかと思ったけれど、意外にもすんなり答えてくれた。


「雛様も今お食事していますよ」

「薺……と?」

「ええ」


想像出来ない。雛はあれで気が弱く、些細な事を気にする子だ。

そのせいで食が細くなる事も多々あった。だから、今の状態で食事など到底無理だ。正常ではいられないだろう。

そう思うと僕は勢いよく立ち上がった。



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