禁断ノ遊ビ


今度は此方を凝視してくる男。流石に驚いたのか目を丸くさせていた。


「っ通して下さい。雛の所に行きます」


バカ正直に事前申告をする。申告しなければ通れないような場所に男が居るのだから致し方無い。これで通してくれるとは思いもしないが。


「椿様、お食事をなさらないと薺様が心配なさりますよ」

「っ――!」


この屋敷の従者と言うなら薺の味方だと予想はしていた。だとしても、これはあんまりだ。非情だ。

ならば。と別の手である強行突破を試みようとしたが、それを止める言葉を放ったのは他でもない男。


「椿様、罰を犯さないでください」


正確には止める言葉ではなく、意味深な言葉だった。だが、同意義だ。


「待って!待ってくだ……っ!」


引き止める為に戸に手を伸ばすも閉じられる。一ミリの隙間もなく、ピッタリと。

伸ばした腕をダランと落とし、その場で立ち尽くしたまま項垂れる。

罰を犯すってなんだ?罰を犯して雛を恐怖に追いやっている薺の方だ。僕等は只、普通に暮らしていた。何もしていない。していないのに。




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