禁断ノ遊ビ
食事に手もつけず、部屋の隅で踞っていると音もなく戸が横にズレた。
「つーばき」
上機嫌な声と嬉しそうな顔で、暫く僕の反応を見るように顔だけを戸から覗かせている。
僕は返事をせずに赤く染まった目を見つめる。段々赤みが増して濁っていっているようにも感じた。
「雛にね、椿の様子を話したら酷く心配したような顔をしてたから見に来たんだ。雛は寝ちゃったけれど」
そう喋りながら部屋に踏み込み後ろ手で戸を閉めた。
張り詰めていた空気が限界まで引っ張られ、切れる寸前になる。呼吸が無意識の内に抑えられた。
「雛、は……?」
息を吐くように言葉を出せば呼吸困難のように苦しい。
そんな僕を笑ったのか、笑っていないのかは分からないが、目を細めて口角を上げた。
「雛も椿も。互いしか見てないんだね」
何が可笑しいのかクスクスと笑う。が、途端に消える偽りの笑顔。