禁断ノ遊ビ
フラフラとしながら襖を開け、冷たい廊下に足を落とす。
何処に行こう、何をしよう。そんな考えは微塵にもなく、ただ歩くだけ。
フラフラ、フラフラ。ギィギィ、ギィギィ。
「――っゴホッゴホッ」
また咳が漏れる。なんて息苦しいのだろう。
そうやって壁に手をついた時、隣の襖が開いた。
「ふぁぁ……どうしたの雛、こんな朝早くから」
首を横に向ければ、欠伸をした為に目に涙を浮かべた柊様が其処にいた。
朝早くだと言うのだから、今は朝なのだろう。体内時計なんてものは既に機能していなく、何日経っているのかは不明だった。だから、何日目かの朝だ。
柊様はまたもう一つ欠伸をした。
「せっかく早く起きたんだし、桜でも見に行こっか?」
聞き返すよりも早く、柊様は私の手を取り早足で何処かに歩み始める。
今の私にはそれを振り払う程の力は無かった。縺れる足を転けないようにするのに精一杯だったのだ。