禁断ノ遊ビ


同じ景色ばかりが流れる迷宮を抜けると、中庭の隅にある階段の頂上からも見える大きな桜の木があった。

二階の高さを軽く越えるような立派な木。私もここまでのは見た事が無かった。村のだってここまでは成長していない。一体何年経っているのか。

根本には数本の花も咲いていた。

そんな木の花弁が舞い散り、目の前の柊様の髪に絡み付く。


「綺麗でしょ?」


それを気にも止める様子もなく振り返り問いかけてきた。

なのに答えを聞かないまま足は更に進み、階段を下り始める。最も、聞かれても答えれる気なんてしなかったけど。

階段を下るほどに見えてくる地面。桜の木の根本とこの場はまだ遠く、見間違った事に気付いたのは地面を何歩も歩いてからだった。

咲いていたのは花じゃない。


「ひゃっ!?」


花のように開かれた数本の手だった。



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