禁断ノ遊ビ
「は、っ……はぁ……ぁ」
何もしていないのに息は乱れていた。
それでも最小限に息を抑え、けれど次なる行動に移し始める。
いつまでもここに居るのは危険。
柊様はもうこの部屋を去った。私に次の場所へと移動しないといけない。
移動するにもリスクが高いけれど、同じ場所に居るのも危険なのは変わりない。かくれんぼなのに、鬼ごっこをするかのように逃げ続けなければならない。
耳を襖に当て、音が無いのを確認し、気配がないのも確認した。
移動するなら今だ。
「っ……」
なのに足が、動かない。
床に張り付けられたような感覚。辛うじて動くのは数センチほど。
勢いを……勢いをつければ……
大丈夫。いける。いかないと。
いち。
にの。
さん。
自分で決めた合図で息を止めて押入れから外に飛び出した。