禁断ノ遊ビ
どれ程経っただろう。別室に移動し、使用人らしき女の人が雛の着物を新しく着替えさせてから。
かなり経っている筈なのに一度だって目覚めはしていなかった。苦しそうに息をするばかり。
「雛、起きないねぇ」
それに対してクスクスと笑う薺。
ここに来て少し経った時にやってきたのだ。無論警戒するが為に此方の精神もすり減っていた。
静寂の中、自分の息を飲む音だって聞こえる。声だってよく聞こえた。ずっと気になっていた疑問をぶつける。
「さっきの……さっきの言葉はどういう意味だ?」
「言葉通りの意味、そのままだよ」
「っ――なら。それなら僕らは兄弟だって言うのかっ!?」
否定してほしかった。僕の大声を掻き消す程の大きな声で違うと言ってほしかった。でないと……でないと気が狂いそうだった。
「そうだよ。腹違いの、父親違いの兄弟」
狂う狂う。認めたくなどなかった。