尊敬するたったひとりの女性
私の母は、どんなに最悪な状況でも、いつも笑っていた。


ボロボロなのに、次の日は、ボロボロの顔で、パートにでかけていた。


父親が、家にお金を入れないので、母親が寝る時間を削って、必死に働いて、生計をたてていた。


そんな父親なら、子供の為に、離婚するべきだろうと思う人もいるだろう。



母は、子供たちが、将来結婚する時に、片親で、結婚できなかったとか、片親で、惨めな気持ちになるのではないかと(昔は、離婚に対する偏見が強かった)
気にして、自分が我慢すればいいと、子供たちが結婚し、自立するまでは、踏ん張ると心に決めていた。



自分はボロボロでも、私達には、かわいい洋服を着せてくれたり、習い事も習わしてくれたり…惨めな思いをさせまいと必死に頑張ってくれてた。



自分の事よりも、子供の事ばかり気にかける母親だった。


自分たちを必死に育てあげてくれているのに、非行に走ることなんてできない。


母は、言葉で大切な事を教えてくれたんじゃない。


人の気持ちは、言葉じゃないんだ。


自分の気持ちは、言葉にださないと伝わらないっていうけど…


人の思いは、その人の態度や行動に現れる。


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