涙はきっと
そして、夕方になってバイトに向かった。

「旬君!ちょっとお客さんと、トラぶっちゃって、私、お客さんに手をあげちゃってさ、警察行かないといけなくなったの…
だから、旬君がリーダーとして、頑張って。」

カナメさんは、パトカーに乗って行ってしまった。

いきなりだったから、僕は何だか分からなくなった。

「旬!聞いたよ!カナメさん捕まったんだって?」

佐藤が、走ってきてそう言った。

「うっうん。俺…カナメさんがいない間、リーダー任された。」

「マジかよ。リーダーなら、朝から、夜まで働かないといけねぇらしいよ…
旬、お前学校あるし…卒業まで後2週間だぞ!!
迷ってないで、断れよ。やばいっしょ。」

「そうだけど…でも、何かやる気になってきた。」

「意味わかんねぇこと言うなよ!!卒業式どうすんだよ?」

「卒業式は出るよ。でも、今日から俺、リーダーだから。」

「でも、後高校生活2週間じゃん。春瀬さんとか、リョウ達とかと、ちゃんと思い出作らないと、もう、終わるんだぞ?」

「思い出は、作ろうとして作る者じゃねぇだろ。
運命なんだよ。切ない思い出なのか、幸せな思い出なのかは、
俺が決めるんじゃないしさ、だから俺、人のために今は頑張るよ。
ありがと。心配してくれてさ!」

「そっか。そうだよ!!それが本当の旬だ!!」

佐藤は、今日、合コンを欠席して、当番じゃないのも関わらず、働いてくれた。
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