涙はきっと
そしてその夜、笑美はいつものようにうちに来た。

「旬、あれから気にしないよね」

笑美は僕の部屋に来て言った

「何を?」

「私が、男性恐怖症のこと…」

「教えれる日が来たらでいいよ」

「来たよ。今なら言える。」

「じゃあ教えてくれる?」

「うん。あれは、中学2年の夏だった。私、初恋したんだ。市川君。って子。私に優しくしてくれて、私が辛いとき、いつも傍にいてくれた。ある日、いつものように朝、学校にこよってたら、市川君が急に私の手を引っ張って、倉庫に連れて来て、とても怖そうな人に、こう言ってた。この女10000万で売るよ。 
とても優しかった市川君が、急にどこか行っちゃった。みんなおいてくんだよ。
だからもう、大切な人が何処か行っちゃうのやだ。
ずっとずっとずーっと、傍にいたいの。だから、男、女、関係なしに、怖くなっちゃったんだ。たまたま男の人が怖いだけで…時々、絵理も怖い、って思うときもあるの。
リョウ君のとこに行く時も、絵理…どこか、私が知らない場所に行っちゃうのかな。
って
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