涙はきっと
「笑美。ちょっといいか?」

僕は笑美を呼び出した。

「何?」

「絵理から聞いた。市川の家ってヤクザだってこと」

「そう…旬は関わらなくていいから。」

そう言って帰ろうとした笑美の手を僕はつかんだ。

「強がんなよ。俺等、永遠に一緒って約束しただろ。簡単にやぶんなよ。」

「じゃあどうすればいいの?旬が関わったら、旬まで痛い目に合うかもしれないんだよ?」

「俺がいねぇと、笑美がケガするだろ。」

僕はそう言って、笑美の頭をポンッなでた。

「旬ごめんね…」

笑美は泣いていた。

「お前泣き虫だなぁ。」

「旬だって泣き虫でしょ?」

僕等は笑った。幸せ。
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