IMITATION LOVELESS -Remember-
「っ!?」
刹那が瞬時に憐の後ろに回り込み、手で口を塞がれる。
小さな憐の力では刹那の腕から逃げることはできない。
「逃げなくてもいいのに…」
改めて優夜がフードに手をかける。
憐は瞼をきつく閉じる。
ぱら…
「……っ」
「ん…?」
「あんた…」
優夜と刹那は固まってしまう。
『優夜…、刹那…』
憐の閉じられた瞼からは絶えず紅い涙が溢れている。
「…指名手配の憐姫?」
優夜が憐の涙を拭いながら聞いてくる。
憐は優夜の顔を見る。
あの時と何一つ変わっていない顔つき。
少し、大人びた以外は憐の知ってる優夜だった。